スマートフォンサイトはこちら
  1. 1)親子、子どもを対象にした各種教室の実施
沖縄美ら島財団総合研究所

普及啓発の取り組み

1)親子、子どもを対象にした各種教室の実施

伊藝 元*1 ・木野沙央里*1

1.はじめに

当財団では、亜熱帯性動植物に関する調査研究や国営公園の管理をする中で蓄積されたノウハウ、研究成果等を社会に広く発信し、多くの方々に亜熱帯性動植物に関する学習の機会を提供する普及啓発事業として、子どもから大人までを対象にした各種教室等を実施している。令和2年度は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、多くの催事が中止または規模縮小しての開催となった。催事は主に「美ら島自然学校」を会場に、一般市民や親子を対象にした「美ら島自然学校学習会」、「美ら島自然教室」、「美ら島・美ら海こども工作室」等の学習会を開催した。海洋博公園等の外部施設での実施分も併せ、以下に報告する。

2.実施結果

1)美ら島自然学校学習会(2事業)

美ら海自然教室では、海の自然環境の不思議や面白さを伝えることを目的に、屋内観察や野外観察などの体験を通した学習を行った。
令和2年度は「イソアワモチ」、「おきなわのちんなん」、「星の観察会」の3事業を開催し、28名の参加があった。
「沖縄のカタツムリは絶滅危惧種が多く、外来種が驚異的な存在とは知らなかった」などの感想があり、生き物への理解を深めたことがうかがえた(写真-1)。
星の観察会では、外部講師を招聘して実施した。天候が悪く、星を観察することはできなかったが、野外にてアプリなどを用いた星の観察方法の紹介を行った。「後日、晴れた日に実際にアプリを使って観察したい」などの感想があり、周囲の環境への興味関心が高まったと考えられた。(写真-2)

2)美ら島自然教室(1事業)

美ら島自然教室は、主に親子を対象とし、沖縄の植物や自然環境についての不思議や面白さを、野外観察と標本観察を中心に学習した。
令和2年度は「海岸の植物観察」の1事業を開催し、32名の参加があった。「海岸の植物観察」では、美ら島自然学校前の海岸で見られる海浜植物とその「根」について実際に砂を掘り根の広がりについて学習した。また、海岸に打ちあがる漂着種子を実際に観察し、形態や生態、また種子散布と植物の生き残り戦略について講師が解説した。
参加者からは「海岸には予想以上に多くの種類があることに驚いた。」「漂着種子には大きなココヤシから小さなハマアズキまでいろいろと探すのが面白い」といった意見をいただくなど、身近な環境に興味・関心を持っていただく機会を提供できた。

3)美ら島・美ら海こども工作室(1事業)

美ら島・美ら海こども工作室は、主に親子を対象とし、沖縄で採集できる、動物や植物由来の材料・日常生活用品の廃材等を用いて、様々な玩具等を工作する事業である。作製過程で動植物や自然環境の豊かさと活用法を学び、創造性を養うことを目的としている。
令和2年度は、「季節の草木の工作と草木遊び」(全2回)、「初日の出!こども凧カーブヤーをつくろう」の3事業を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、「季節の草木の工作と草木遊び」(全2回)は中止となり、「初日の出!こども凧カーブヤーをつくろう」のみの開催となった。沖縄の伝統的なこども凧(カーブヤー)を作製、凧揚げを行う催事である。5回目となる今年は、新規参加者と併せ、昨年度から続けて参加のリピーターなども見られた。天候にも恵まれたことから、アンケートでも「作ることが面白かった」「作った凧が良く飛んだので、大満足」などの声をいただいた。(写真-3)

  • 画像
    写真-1おきなわのちんなんの様子
  • 画像
    写真-2星の観察会の様子
  • 画像
    写真-3「初日の出!こども凧カーブヤーをつくろう」の実施風景

3.今後の展望

今後も、当財団職員が中心となって講師を務めるほか、生き物の生態観察や実験、顕微鏡を使った観察や野外観察、工作などの体験を交えた各種教室を企画・実施する。また、親子でコミュニケーションを取りながら学べる親子向けの講座や、気づきのきっかけとなるような小学生以上の子ども向け講座など、参加者のニーズに合った内容を検討し、学びの機会を提供する。

4.外部評価委員会コメント

多くの参加者を対象に、沖縄の動植物や歴史文化の魅力、調査研究成果などの情報、野外観察や実験等の体験を通して、沖縄の環境や動植物、文化について学ぶ機会を提供する社会貢献の高い事業である。
内容の充実とともに今後の発展を期待する。
(池田顧問:琉球大学名誉教授)


*1普及開発課

ページTOPへ