海洋生物の調査研究
ザトウクジラは夏に餌を食べるためロシアやアラスカなどへ、冬になると繁殖や子育てのため沖縄や小笠原、ハワイなどへ回遊を行います。沖縄周辺では例年12月終わりから4月はじめ頃にかけて本種を対象としたホエールウォッチングが行われており、ザトウクジラは冬季観光産業を支える重要な資源となっています。当財団では国内外の研究者や地元の方々と協力し、ザトウクジラの生態や資源状態を調査しています。
北上するザトウクジラ
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:-(3/10で調査終了)
本 部:4群5頭(親子クジラ:1群)
那 覇:5群11頭(親子クジラ:4群)*提供情報
本日で今シーズンのザトウクジラ調査も最終日となりました。皆様のご協力のお陰で、今年は慶良間、本部海域合わせて延べ403頭の識別写真を撮影することができました。今年も、那覇周辺海域の発見情報をご提供頂いた沖縄中南部ホエールウォッチング協会の皆様、本部周辺海域の発見情報など大変多くのご協力を頂いた沖縄北部ホエールウォッチング協会の皆様、また、その他ご協力頂いた座間味島、那覇市、恩納村、伊江村、本部町の皆様、調査にご協力頂いた調査船の船長、調査員の皆様、本当にありがとうございました!また来シーズンもどうぞよろしくお願いいたします。
水中マイクでソング(鳴き声)を確認する様子
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:-(3/10で調査終了)/
本 部:7群17頭(親子クジラ:1群)
那 覇:11群15頭(親子クジラ:2群)*提供情報
今日の調査では「シンガー」が観察されました。ザトウクジラのオスは、摂餌海域から繁殖海域への回遊途中を含め、主に繁殖海域で複雑な鳴き声「ソング(歌)」を発することで知られており、ソングを発しているオスは「シンガー(歌い手)」と呼ばれています。ソングを発する理由は、メスへの求愛、オス同士の牽制やなわばりの維持など諸説ありますが、まだはっきりとしたことはわかっていません。これまでの調査から、沖縄の沿岸域では、日の入りから日の出にかけて、夜間の方が日中に比べてソングがより活発に観察されることがわかっています(参照:https://churashima.okinawa/ocrc/marine_organisms/report/1668489623/)。
親子クジラと3頭のエスコート
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:11群19頭(親子クジラ:4群)
本 部:6群16頭(親子クジラ:4群)
那 覇:13群24頭(親子クジラ:7群)*提供情報
本日の本部海域の調査では、親子に合計3頭のエスコート(母クジラと交尾の機会を狙っているとされるオスクジラ)がついている5頭の群が確認されました(写真参照)。メス(母クジラ)に最も近い位置にいるエスコートを「プリンシパル(第一)エスコート」、その他のエスコートを「チャレンジャー(挑戦者)」と呼びます。これまでの調査から、沖縄では、メスクジラの連続した年での出産は確認されておらず、2-4年に1回子供を産む個体が多いことから、母クジラとエスコートとの繁殖成功率は高くないと考えられています。
伊江島西沖を北上するザトウクジラの群れ
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:8群20頭(親子クジラ:1群)
本 部:9群28頭(親子クジラ:2群)
那 覇:15群26頭(親子クジラ:9群)*提供情報
本日の本部海域の調査では、7頭の群れが確認されました。沖縄周辺で観察されるザトウクジラの群の頭数は、2頭、1頭、3頭…の順に多く、稀に10頭ほどの群れが確認されることもあります。数日間続けて同じ個体同士が一緒にいることもありますが、多くの場合は、数時間、数日間のうちに離れ、また別の個体と群を形成していることが、これまでの調査からもわかっています。
識別番号R-844 伊江島南西沖にて
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:10群15頭(親子クジラ:1群)
本 部:13群22頭(親子クジラ:4群)
那 覇:19群37頭(親子クジラ:12群)*提供情報
本日の本部海域では、写真のクジラ(識別番号R-844)が仔クジラ(0歳児)を伴った母クジラとして確認されました。このクジラは、2008年に初めて本部海域で確認されて以降、何度も沖縄周辺で観察されています。またこのクジラは、当財団の調査員が小笠原諸島で調査に参加していた際にも現地で確認されており、沖縄、小笠原双方の海域を利用していることもわかっています。当財団では、現在、国内外、各海域の研究組織と協力して、ザトウクジラの回遊や交流を調査する共同研究を実施しています。今後の研究成果報告もぜひ楽しみにお待ちいただければと思います!
1.5km先に発見されたザトウクジラのブロー
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:13群20頭(親子クジラ:1群)
本 部: 8群14頭(親子クジラ:3群)
那 覇: 13群26頭(親子クジラ:6群)*提供情報
ザトウクジラは呼吸のために約10~20分に1度の間隔で海面に浮上しますが、その際に見られるクジラの噴気(吐いた息)を「ブロー」と呼びます。調査やホエールウォッチングではクジラを発見するために、この「ブロー」を目印にして探します。通常、クジラのブローはすぐ消えてしまいますが、今日のように風が無い日は、数秒間ブローが残っていることがあります。あなたは写真に薄っすらとうつった3本のブローを探すことができますか?
水族館沖を泳ぐオキゴンドウの群れ
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:-群-頭(親子クジラ:-群)
本 部:6群11頭(親子クジラ:2群)
那 覇:21群47頭(親子クジラ:15群)*提供情報
本日の調査中、沖縄美ら海水族館や瀬底島の沖を泳ぐ、オキゴンドウの群れが観察されました。例年、ザトウクジラの調査中にゴンドウの仲間やシワハイルカ、マダライルカなど、色々なイルカ・クジラの仲間を発見することがあります。沖縄美ら島財団では、オキゴンドウについても、背びれのキズや欠けなどの特徴をもとに、個体を識別する調査を実施しています。ザトウクジラ以外の発見情報もぜひご一報いただければ大変ありがたいです。どうぞよろしくお願いいたします!
尾びれを上げて潜るザトウクジラ
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:8群17頭(親子クジラ:7群)
本 部:7群10頭(親子クジラ:1群)
那 覇:11群22頭(親子クジラ:4群)*提供情報
今日は沖縄北部ホエールウォッチング協会の方々と共同で、ホエールウォッチング、ホエールスイムツアーのザトウクジラへの影響評価調査を実施しました。ご協力いただいた皆様本当にありがとうございました!ザトウクジラの保全と持続的な観光産業の両立に向けて、今後も皆様と協力して調査を継続していきたいと思います!
2頭のザトウクジラ 伊江島北西沖にて
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:-
本 部: 7群14頭(親子クジラ:0群)
那 覇: 17群32頭(親子クジラ:11群)*提供情報
本日の本部海域の調査では、2頭で一緒に泳ぐクジラの群れがよく確認されました。これまでの研究結果から、沖縄では1月下旬~2月下旬にかけて、オスとメスの2頭の群れや3頭以上の競争集団(メスとの交尾の機会をめぐって複数のオスが争っているとされる雌雄混合群)が多いことがわかっており、この時期が交尾のピークシーズンではないかと考えられています (参照:http://churashima.okinawa/ocrc/marine_organisms/report/1523339385/)。
備瀬崎沖にて
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:-
本 部: 8群12頭(親子クジラ:1群)
那 覇: 10群21頭(親子クジラ:4群)*提供情報
沖縄美ら島財団では、現在ハワイの研究者と一緒に、ザトウクジラの親子の行動や体長に関するドローンを使った共同研究を実施しています。今日は海況も天候もよく、絶好のドローン調査日和となりました。ゆっくりと泳ぐ親子クジラを驚かせないように、ドローンでしばらく観察、データ収集を実施することができました(写真参照)。
伊江島北西沖にて
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:-
本 部: 7群11頭(親子クジラ:2群)
那 覇: 7群14頭(親子クジラ:6群)*提供情報
今日の調査では、一般的な大人のザトウクジラよりも少し体の小さめな個体(写真のクジラ)が観察されました。ザトウクジラは産まれてから約1年で親離れをした後、10歳前後で性成熟するとされています。今日観察された小さめのクジラは、その体の大きさから、産まれて1~数年の若い個体である可能性が考えられます。これまでの調査から、繁殖活動には直接参加はしないと思われる若い個体であっても、例年繁殖海域である沖縄に来遊してくることがわかっています。
識別番号R-26 伊江島南西沖にて
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:-
本 部: 9群12頭(親子クジラ:1群)
那 覇: 13群27頭(親子クジラ:7群)*提供情報
本日の本部海域では、写真のクジラ(識別番号R-26)が確認されました。このクジラは、今から32年前の1991年に慶良間海域で初めて観察されて以降、毎年のように沖縄周辺への来遊が確認されています。母クジラとして仔クジラ(0歳児)を伴って泳ぐ姿が何度も確認されており「ベテランお母さん」であることもわかっています。
水族館沖を泳ぐ親子のザトウクジラ
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:-
本 部: 9群14頭(親子クジラ:3群)
那 覇: 13群30頭(親子クジラ:8群)*提供情報
今日の調査では、陸からも見える範囲にたくさんのクジラを発見することができました。沖縄美ら海水族館からもその姿を観察することができ、水族館や海洋博公園を訪れた来館者の方々やスタッフも、時々海を眺めては海面に上がるブロー(ザトウクジラの噴気)に歓声をあげていました。
ブリーチ(ジャンプ)する2頭のザトウクジラ
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:-
本 部: 7群14頭(親子クジラ:2群)
那 覇: 17群32頭(親子クジラ:3群)*提供情報
今日の本部海域では、2頭のクジラの群れ(親子クジラ含む)が多く観察されました。写真のように、2頭そろっての豪快なブリーチ(ジャンプ)も見ることができました。これからいよいよザトウクジラ来遊シーズンの到来です。ぜひ皆さんも、海から、陸から、ホエールウォッチングを楽しんでみてはいかがでしょうか?また、現在沖縄美ら海水族館では「ザトウクジラ特設展&座間味村ザトウクジラ写真パネル展」も開催中です。ぜひこちらにも足を運んでみてくださいね!特設展紹介リンク→ https://churaumi.okinawa/topics/1673071468/
尾びれを上げて潜るザトウクジラ 古宇利島沖
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:-
本 部: 3群5頭(親子クジラ:0群)
那 覇: 7群13頭(親子クジラ:1群)*提供情報
今年もザトウクジラ調査を開始しました!当ページでは、沖縄周辺で確認されたザトウクジラの発見情報を随時報告していきます。那覇周辺海域の発見情報は、沖縄中南部ホエールウォッチング協会の皆様よりご提供いただいております。いつもご協力ありがとうございます!今年もよろしくお願いいたします!
ザトウクジラは体長12~14m、体重30~40tほどになる大型ヒゲクジラ類の一種で、頭部にみられるこぶ状の突起や長い胸びれが特徴です。世界中の海に生息していますが、季節ごとに餌場と繁殖場を回遊しており、とくに北太平洋では、夏になるとロシアやアラスカなどの冷たい海でエサを食べ、冬になるとハワイ、メキシコ、沖縄、小笠原などの暖かい海で繁殖・子育てをします。沖縄沿岸では例年12月終わりごろから4月の初めにかけてよく観察され、慶良間諸島、本部半島周辺、那覇市周辺などで本種を対象としたホエールウォッチングツアーが盛んに行われています。
ザトウクジラは尾びれ腹面の模様や形状が人間の指紋のように1頭1頭異なります。尾びれの色が真っ白いもの、真っ黒いもの、白黒混ざったものや、同じ黒い尾びれでも後縁のギザギザの形状が各個体で異なるなど様々です。この特徴を生かし、世界各地でザトウクジラの尾びれ写真を使用した個体識別が行われています。
当財団では沖縄のザトウクジラの資源状態や生態を把握するため、30年以上にわたり調査を継続しています。慶良間諸島周辺や本部半島周辺で収集した尾びれ写真の個体識別により、これまでに約2,000頭を識別しています(2023年現在)。この情報をもとに来遊頭数の推定を行ったり、国内外の研究者や地元の方々と協力しながら回遊経路の解明に努めています。また、その調査結果を地元のホエールウォッチング事業者の方々や子供たちに伝える活動なども行っています。
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