プレスリリース
2026.06.30
一般財団法人沖縄美ら島財団(以下、沖縄美ら島財団)はPacific Whale Foundation(PWF)、ハワイ大学マノア校ハワイ海洋生物研究所・海洋哺乳類研究プログラム(MMRP)との共同研究により、ハワイ沿岸に生息する野生のオキゴンドウに関する共同研究論文が『Endangered Species Research』誌に掲載されました。
本研究は、絶滅危惧とされるハワイ沿岸域のオキゴンドウ個体群の保全を目的として実施されたもので、健康状態の大きな変動が明らかとなりました。

沖縄美ら海水族館のオキゴンドウを対象とした3Dスキャンデータ収集の様子
ハワイ沿岸に生息するオキゴンドウは、個体数が減少しており、長期的な保全が求められています。海洋哺乳類は環境変化の影響を受けやすく、継続的なモニタリングと健康評価が重要とされています。
本研究では、野生個体の健康状態を正確に把握するため、飼育個体から得られる高精度データを活用し、野生個体の状態を解析することを目的としました。
本研究は、7年間にわたる国際共同研究として実施されました。研究では、沖縄美ら海水族館で飼育されているオキゴンドウを対象に、3Dスキャンおよびドローン撮影を用いて体形データを収集しました。これにより、3Dスキャンから得られた既知の体サイズ情報を基準として、ドローンによる写真測量技術の精度補正を行うことが可能となり、背面から撮影した画像のみからでも、野生個体の体サイズや体形を高精度で再構築できるようになりました。さらに、これら飼育下個体から得られたデータを野生個体へ応用することで、野生下における体形の正確な把握が初めて可能となりました。また、本研究では、野生下の対象個体群の個体数が現在140頭未満であることが確認されており、年間平均約3.5%の減少傾向にあることも示されました。その背景には、栄養状態の悪化や環境変化などの影響が示唆されています。今回、飼育下個体から得られた基準データを活用することで、野生個体の健康状態や栄養状態をより正確に評価できるようになり、今後の保全や管理に大きく貢献することが期待されます。
本研究は、飼育下で得られる精密データを野生個体の解析に応用した点に大きな特徴があります。これにより、観察が困難な野生個体の健康状態を高精度に評価することが可能となりました。
沖縄美ら島財団は、今後も飼育下における海洋生物の健全な管理とデータ蓄積を進めるとともに、海外研究機関との連携を強化し、地球規模での海洋生物保全に貢献してまいります。
Body condition differs among social clusters and across years in endangered false killer whales in Hawai‘i
Endangered Species Research
DOI: https://doi.org/10.3354/esr01505
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